2025/7/19

7月になり長雨で気持ちも滅入りがちな日々ですが、いかがお過ごしでしょうか。

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オメガ脂肪酸は体に悪い?基本情報や効果的に摂取する方法を解説

栄養編集チーム 管理栄養士

公開日

2025.07.18

最終更新日

2025.07.18

健康に良いイメージのあるオメガ脂肪酸ですが、「体に悪い」といった意見もあります。実際には、オメガ脂肪酸は体に欠かせない栄養素で、健やかな体作りのためにバランス良く摂取することが大切です。

そもそもオメガ脂肪酸とは?

オメガ脂肪酸は、不飽和脂肪酸に分類される脂肪酸の一種です。(1)

そもそも脂肪酸とは、体の細胞の構成やエネルギー源として欠かせない栄養素です。

炭素と水素・酸素からなる分子で、鎖状につながった炭素原子の片側に、酸を示すカルボキシル基(-COOH)がついています。(2)(3)

脂肪酸の詳しい分類は、以下の図のとおりです。

 

 

出典:「日本人の食事摂取基準(2025年版)策定検討会報告書 脂質|厚生労働省」のデータより引用・加工

 

図のように、脂肪酸は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の2種類です。

不飽和脂肪酸の中にはオメガ脂肪酸が属しており、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分けられます。(1)

オメガ脂肪酸の種類は、以下の3つです。 (1)

  • オメガ3脂肪酸(多価不飽和脂肪酸)

  • オメガ6脂肪酸(多価不飽和脂肪酸)

  • オメガ9脂肪酸(一価不飽和脂肪酸)

                                                                    

それぞれに含まれる脂肪酸や働きは異なりますが、いずれも体に欠かせない栄養素です。

 

オメガ脂肪酸には3つの種類がある 

前述のとおり、オメガ脂肪酸には3つの種類があります。それぞれの特徴は以下のとおりです。(1)(4)(5)(6)(7)(8)(9)(10)

 

オメガ脂肪酸の種類と特徴

■ オメガ3脂肪酸(多価不飽和脂肪酸)

オメガ3が多い食品

オメガ3脂肪酸は、体内で合成できない「必須脂肪酸」であり、食品からの摂取が必要です。

中性脂肪の減少や抗炎症作用など、健康にさまざまな良い影響を与えるとされています。また、酸化しやすいという性質があり、目や脳、細胞膜などにも多く含まれます。

  • 特徴:

    • 必須脂肪酸(体内で合成できない)

    • 中性脂肪の減少、抗炎症作用などが期待される

    • 酸化しやすい

    • 目や脳、細胞膜などに含まれる
       

  • 1日の摂取目安

    • 成人男性:2.2g/日

    • 成人女性:1.7g/日
       

  • 含まれる脂肪酸

    • α-リノレン酸(ALA)

    • エイコサペンタン酸(EPA)

    • ドコサヘキサエン酸(DHA)
       

  • 多く含む食品

    • 亜麻仁油、えごま油

    • サバやイワシなどの青魚
       

■ オメガ6脂肪酸(多価不飽和脂肪酸)

オメガ6脂肪酸もまた体内で合成できない必須脂肪酸であり、食事からの摂取が必要です。血圧を下げる効果が期待される一方で、過剰に摂取すると健康への悪影響も懸念されます。脳や細胞膜などにも多く含まれています。

  • 特徴:

    • 必須脂肪酸(体内で合成できない)

    • 血圧を下げる効果があるとされる

    • 過剰摂取には注意

    • 脳や細胞膜に含まれる

 

  • 1日の摂取目安:

    • 成人男性:11~12g/日

    • 成人女性:9g/日

 

  • 含まれる脂肪酸:

    • リノール酸

    • γ-リノレン酸

    • アラキドン酸

 

  • 多く含む食品:

    • サンフラワー油、コーン油などの植物油

    • 加工食品

 

■ オメガ9脂肪酸(一価不飽和脂肪酸)

オメガ9脂肪酸は体内で合成可能な脂肪酸で、必須脂肪酸には含まれません。血液中の悪玉コレステロールを低下させる効果が期待される一方、摂りすぎには注意が必要です。血管や細胞膜などに含まれています。

  • 特徴

    • 体内で合成可能な一価不飽和脂肪酸

    • 悪玉コレステロールの低下が期待される

    • 肥満予防の観点から摂りすぎには注意
      血管や細胞膜などに含まれる

 

  • 1日の摂取目安

    • 厚生労働省による具体的な基準はなし

 

  • 含まれる脂肪酸

    • オレイン酸

 

  • 多く含む食品

    • オリーブオイル

    • ごま油

    • こめ油

 

オメガ脂肪酸は、適正量を守りバランス良く摂取するのが、健康促進のポイントです。

オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸は、体内で合成できない必須脂肪酸のため、日々の食事から摂取しなくてはなりません。

一方、オメガ9脂肪酸は体内で合成できるため、必須脂肪酸ではありません。摂取基準は設けられていませんが、摂りすぎは肥満や生活習慣病の原因になる可能性があります。


 

オメガ3脂肪酸の注目すべき効果5選

オメガ脂肪酸のなかでも、オメガ3脂肪酸の効果は注目されています。主なオメガ3脂肪酸の効果は以下の5つです。

  • 脳機能の維持・向上

  • 抗炎症作用

  • 精神面の健康をサポート

  • 心血管疾患のリスクの軽減

  • 目の健康にアプローチ

 

脳機能の維持・向上

オメガ3脂肪酸に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)は、脳機能の維持・向上に役立ちます。DHAは、乳児の長期的な脳の発達や、認知機能のサポートに効果的です。(11)

また、認知症状が出る前に、充分にDHAを摂取しておくと認知機能低下を抑えられる可能性があります。(11)

 

抗炎症作用

オメガ3脂肪酸に含まれるDHAとEPA(エイコサペンタエン酸)には、抗炎症作用があります。

炎症を抑える物質であるプロスタグランジンの働きにより、気管支喘息や関節リウマチ・月経痛の予防などにも効果的です。(11)(12)(13)

さらに皮膚アレルギーによる赤みやかぶれの反応を抑える働きも期待できるため、肌状態の改善につながる可能性もあります。(14)

 

精神面の健康をサポート

オメガ3脂肪酸は、抑うつ症状のような精神面の健康にも効果的です。

抑うつ症状は、脳の炎症反応によるものだといわれています。

オメガ脂肪酸に含まれるDHAやEPAの抗炎症作用が、抑うつ症状に働きかけて精神面の健康をサポートするのです。(15)

 

心血管疾患のリスクの軽減

オメガ3脂肪酸のDHAとEPAは、心血管疾患のリスク軽減に効果的です。

ドロドロの血液は、血管を狭くしたり詰まりやすくしたりして、心筋梗塞のような虚血性心疾患を引き起こします。

DHAとEPAには、血液の流れを改善する働きがあるため、虚血性心疾患のリスクを軽減できるでしょう。(16)

 

目の健康にアプローチ

オメガ3脂肪酸のDHAは、目の健康に作用する栄養素です。

DHAは、網膜に存在しており、減少すると視覚機能に障害が出る可能性があります。

適切なDHAの摂取で、物が歪んだり欠けたりして見える加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)や視力低下の防止が期待できるでしょう。(6)

 

オメガ脂肪酸を摂取するときのポイント3選

家族との食事

オメガ脂肪酸の摂取のポイントは、以下のとおりです。

  • バランスを意識する

  • 食品の選択に気を付ける

  • 調理の仕方を工夫する

ポイントを押さえて、効率よくオメガ脂肪酸を摂りましょう。


 

オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸のバランスを意識する

オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸のバランスを意識して摂取しましょう。

理想的なバランスは、オメガ3脂肪酸:オメガ6脂肪酸=1:2ですが、現代の食生活では、10:1と大きく偏っているといわれています。(5)どちらも健康維持に欠かせない脂肪酸ですが、オメガ6脂肪酸の過剰摂取は、炎症や動脈硬化のリスクを高める要因のひとつです。(17)

一方で、不足しがちなオメガ3脂肪酸は、積極的に取り入れることが勧められています。


 

オメガ6脂肪酸を摂りすぎないよう食品の選択に気を付ける

オメガ6脂肪酸の摂取を抑えるには、食品選びがポイントです。

たとえば、ファストフードを控えたり外食ではメニュー選びに注意したりして、意識的にオメガ6脂肪酸の摂取を避けるようにします。(5)

また、スーパーの総菜や加工食品にはオメガ6脂肪酸が多く含まれているため、自炊するのがおすすめです。(5)

食品を購入する際も、原材料に何が使われているか意識して選びましょう。

 

調理の仕方を工夫する

自炊する場合は、調理の仕方を工夫します。

たとえば、加熱調理に使用する油を以下のものに変更すると、オメガ9脂肪酸を取り入れやすくなります。(1)

  • オリーブオイル

  • ごま油

  • こめ油

 

ただし、オメガ9脂肪酸は、エネルギーを作り出したり飽和脂肪酸から体内で合成できたりることから、摂りすぎは肥満の原因となるため注意しましょう。(4)

また、オメガ3脂肪酸は熱に弱く酸化しやすい脂肪酸です。火を使わない料理ではアマニ油やえごま油をドレッシングのようにかけると、栄養を損なわずに摂取できるでしょう。(1)

さらに、青魚は蒸したり低温でゆっくり焼いたりすると栄養価が保たれやすくなります。


 

摂取が難しい方にはサプリメントがおすすめ

食事からオメガ脂肪酸を摂取するのが難しい場合は、サプリメントがおすすめです。

特にオメガ3脂肪酸は、あまりなじみのない食品に多く含まれており、毎日の食事だけで補うのは簡単ではありません。

サプリメントであれば、食事を意識しなくても手軽に取り入れられます。

サプリメントの選び方や、サプリメント購入後の保存のポイントは以下のとおりです。(1)(18)(19)

 

ポイント

内容

サプリメント選びのポイント

  • 自分に合った含有量のものを選ぶ

  • 持病がある場合は医師や薬剤師に相談する

  • GMP認定といった品質や安全性に配慮された製品を選ぶ

  • 続けやすい価格のものを選ぶ

保存のポイント

  • 遮光性のある容器や袋を使用する

  • 開封後は空気に触れないようにする

  • 使用期限や注意事項を守る

 

オメガ脂肪酸の摂取は、多くても少なくても望ましくありません。普段の食事内容をふまえて、どの程度サプリメントで補うか考えることが大切です。


 

オメガ脂肪酸をバランスよく摂って効率よく元気になろう

家族の健康

オメガ脂肪酸は、人間の体に欠かせない栄養素ですが、バランスよく摂らなければ、かえって健康に影響を与える可能性があります。

しかし、現代の食生活では栄養が偏りやすく、理想的なバランスを保つのは簡単ではありません。

バランスよく摂取するためには、オメガ6脂肪酸の摂取をひかえ、オメガ3脂肪酸を摂るように意識してください。

なお、食事で調整するのが難しい方には、手軽にとれるサプリメントがおすすめです。自分に合った製品を選び、保存方法に注意しながら飲むことで、効率的にオメガ脂肪酸を摂取できます。

バランスよくオメガ脂肪酸を摂って、元気に毎日を送りましょう。

ヘルスカレッジ栄養編集チームは、管理栄養士や食の専門家が集まり、最新の栄養情報をわかりやすく、毎日の生活に役立つ形でお届けしています。

私たちの目標は、栄養に関する知識をシンプルに説明し、皆さんが健康的な食生活を楽しみながら実践できるようサポートすることです。

https://www.health-college.com/article/omega-acids