2025/5/16

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6つのオメガ3の健康効果:心血管、脂肪燃焼などを説明

医療編集チーム 医師

公開日

2025.05.09

最終更新日

2025.05.09

オメガ3は体にいい!オメガ3脂肪酸の基礎知識

オメガ3脂肪酸は健康効果が高い栄養素です。3種類の栄養素に分かれており、主な食品は以下のとおりです。

脂肪酸

主な食品

主な効果

DHA

サバ

イワシ

マグロ など

脳や神経の健康

認知機能維持

視力サポート

EPA

サバ

イワシ

アジ など

血流改善

心血管疾患予防

抗炎症作用

ALA

(αーリノレン酸)

亜麻仁油

えごま油

クルミ など

脂肪の燃焼促進、蓄積の抑制

体内でDHAEPAに一部変換される

 

これら3つの脂肪酸は、それぞれ異なる働きをするため、バランスよく摂取するとオメガ3脂肪酸の効果を最大限発揮できます。(11)(12)(13)

 

オメガ3は本当に効果がある?みんなに知ってほしい健康効果6選

オメガ3脂肪酸は、全身の健康維持に効果があります。特に心血管系疾患の予防効果が高く、血液循環の主要な機能を維持するうえで欠かせない栄養素です。

本章では、オメガ3脂肪酸の具体的な効果について解説します。

 

1.心血管系疾患の予防

オメガ3脂肪酸の一種であるEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)は、血液をサラサラにする働きがあります。また、動脈硬化の進行を抑制し、心筋梗塞や脳卒中などの予防効果が期待できる栄養素です。(1)(2)

 

2.脳の健康を保つ

DHAは脳に多く存在しており、脳機能の正常な発達と維持に不可欠です。

DHAの充分な摂取は、認知機能の低下を防ぎ、アルツハイマー病といった神経変性疾患のリスクを低減することが期待できます。(3)

 

3.うつ予防や自律神経の調整

オメガ3脂肪酸の摂取は、うつ病や不安症状を軽減する効果があります。脳内の炎症を抑制し、神経伝達物質のバランスを整えることで、精神的な健康維持に役立つとされています。

オメガ3は自律神経を調整し、ストレス耐性の向上も期待できる効果のひとつです。(4)(5)(6)

 

4.健康的な肌や髪を保つ

オメガ3脂肪酸は、アレルギー性皮膚炎の抑制に効果的です。体の内側から肌の健康状態を維持するため、日常的なスキンケアの効果を高められます。

また、頭皮環境も良くなるため、髪の健康にも繋がります。(7)

 

5.脂肪を燃焼しダイエットをサポート

魚油に多く含まれるEPAは、脂肪細胞の代謝を促進し、脂肪の蓄積を抑制する働きがあります。そのためEPAが豊富な青魚は、ダイエットのサポートに適した食材です。(8)

 

6.視力を守る

DHAは網膜の主要な構成成分であり、視覚機能の維持に欠かせない栄養素です。充分なDHAの摂取は、加齢黄斑変性症のリスクを低減し、視力を守る効果が期待できます。(9)(10)


 

オメガ3を含む食品を食材別に解説

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によると、脂質の中でもオメガ3脂肪酸である多価不飽和脂肪酸の摂取が少ないといわれています。

実際、オメガ3の目安摂取量が1.7~2.3gのところ、平均しておよそ1.4~2.2gしか摂取できていません。

オメガ3脂肪酸は、特に朝食時の摂取がおすすめです。朝に摂取すると、血中のDHAとEPA濃度が高くなることが研究で確認されています。

こちらでは、オメガ3脂肪酸を含む食材を紹介します。ぜひ朝食に取り入れてみてください。(14)

 

魚介類

魚介類はDHAやEPAが豊富で、特に青魚には多く含まれています。

食材

EPA+DHA含有量(100gあたり)

サバ

約2.1g

イワシ

約2.1g

サンマ(開き干し)

約3.5g

出典:食品成分データベース 文部科学省

青魚にはDHAEPAが1食(100g程度)で1日に必要なオメガ3脂肪酸を確保できるものが多く、現代人の食生活で不足しがちなDHAEPAを効率的に補えます。

 

植物油脂類

植物油脂類にはALA(α-リノレン酸)が豊富で、体内で一部がEPAやDHAに変換されます。

食材

ALA含有量(100gあたり)

亜麻仁油

(アマニ油)

約57.0g

えごま油

約58.0g

タラ肝油

約22.6g

出典:食品成分データベース 文部科学省

ALAは熱に弱いため、ドレッシングとして生食での使用がおすすめです。1日小さじ1杯程度の摂取で目安量を補えます。

 

種実類

ナッツやシード類は、サラダにかけて食べることや、間食などでオメガ3脂肪酸(ALA)を摂取できる食品群です。

食材

ALA含有量(100gあたり)

えごま

約23.0g

チアシード

約19.0g

くるみ

約9.0g

出典:食品成分データベース 文部科学省

種実類は手軽に摂取できる一方でカロリーも高めです。1日ひとつかみ(約20~30g)を目安に摂取すると良いバランスになります。

 

オメガ3の摂取量と注意点

オメガ3脂肪酸は、毎日の摂取が理想です。しかし、過剰に摂取してしまうと血液循環や消化器の不調を引き起こす恐れもあるため、摂取量を守りましょう。

 

オメガ3脂肪酸は男性2.2~2.3g、女性1.7~2.0g摂取する

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によると、オメガ3脂肪酸の1日の目安摂取量は成人男性で2.2〜2.3g、成人女性で1.7〜2.0gです。

日常的な食事でオメガ3脂肪酸を効率よく摂取するための目安については下表をご覧ください。

 

食品

含有量(約100gあたり)

摂取目安量

サバ

約2.5g(EPADHA合計)

サバ1切れ(100g)で達成

イワシ

約1.9g(EPADHA合計)

イワシ1尾(約100g)でほぼ達成

亜麻仁油

大さじ1(13g)に約6gのALA

小さじ1(約4g)で約1.8g摂取可能

クルミ

ひとつかみ(28g)に約2.5gのALA

1日25~30gで推奨量に近づく

 

魚を1日1食取り入れる、または植物油脂類や種実類を合わせることでバランス良く目標量を達成しやすくなります。食品からの摂取が難しい場合は、サプリメントの活用がおすすめです。(1)(11)

 

オメガ3脂肪酸の摂りすぎによる影響は4つ

オメガ3脂肪酸は健康維持に欠かせない栄養素ですが、以下のような過剰摂取による副作用が報告されています。

過剰摂取による影響

内容

血液が固まりにくくなる

血小板の凝集が抑制され、内出血や鼻血が出やすくなることがある

心房細動のリスク上昇

高用量摂取で心房細動(不整脈)のリスクが高まる可能性が報告されている

悪心嘔吐などの消化器症状

サプリメントや油の過剰摂取により胃腸に負担がかかり、吐き気や下痢を起こす場合がある

過度な血圧低下

血圧を下げる作用があるため、低血圧の人は症状が悪化するリスクがある

参考記事:オメガ3の副作用とは?安全に摂取するためのポイント

 

日常の食事から過剰摂取になるケースはまれですが、サプリメントを服用する場合は、1日の目安を守るようにしてください。

特に抗血栓薬(血を固まりにくくする薬)を服用している場合、オメガ3脂肪酸を摂りすぎてしまうと、血液が止まりにくくなります。持病のある方は、かかりつけの医師や薬剤師に相談してから使用してください。

 

オメガ3を手軽に摂るならサプリメントがおすすめ

オメガ3脂肪酸は、毎日の食事で意識しなければ必要量を満たしにくく、魚やナッツ、植物油を意識して取り入れたとしても、日によって摂取量にばらつきが出やすい栄養素です。

そのため、食事とサプリメントを併用して、オメガ3脂肪酸を摂取しましょう。

 

オメガ3サプリは食品よりも効率的に摂れる

厚生労働省が推奨する、1日あたりのオメガ3脂肪酸の摂取量を食事から摂る場合は以下のような量が必要です。

  • サバ1切れ(約100g)で2.5gのEPA&DHA

  • イワシ1尾(約100g)で約1.9gのEPA&DHA

  • クルミひとつかみ(約28g)で約2.5gのALA

  • 亜麻仁油 小さじ1(約4g)で約1.8gのALA

特に魚は保存期間が短く、こまめに購入する必要があるほか、調理の手間もあります。

一方、サプリメントを取り入れれば、手軽に1日分のDHA&EPAを補給できます。魚をあまり食べない人や、日常的に外食が多い方にとって、サプリメントは手軽な選択肢です。

 

オメガ3サプリの選び方

オメガ3のサプリメントは種類が多く、どれを選んだらよいかわからなくなります。適切なオメガ3サプリメントを選ぶために、以下のポイントを参考にしてください。

1. オメガ3脂肪酸の濃度が84%以上

濃度が高いほど、少ない量で必要なオメガ3脂肪酸を効率的に摂取できます。

 

2. DHA、EPAの含有量はどのくらいか

製品ごとに比率が異なるため、自分の目的(脳血管炎症対策など)に合わせて選びます。

 

3. オメガ3脂肪酸以外の添加物は入っていないか

合成着色料、保存料など不要な添加物が少ないものを選びます。

 

4. 認証マークがあるものを選ぶ

IFOSやGOEDなど、品質基準をクリアした安心できる製品を選びます。

参考記事:オメガ3サプリは効果なし?3つの原因とオメガ3サプリの効果を引き出すための食べ方と選び方

 

正しいサプリメント選びができない場合、以下のようなリスクやデメリットが考えられます。

  • 濃度が低い製品を選ぶと、多く服用する必要があり、コストがかかる

  • DHAEPAのバランスを確認しないと、期待する効果(脳ケア、血管ケアなど)が得られにくくなる

  • 添加物が多い製品を選ぶと、アレルギー反応や胃腸への負担が起きるリスクがある

  • 認証のない製品は、安全性が不透明な場合がある

 

つまり、安価大量生産のサプリを安易に選んでしまうと、期待する効果を得にくいだけでなく、体に余計な負担をかける可能性もあります。

サプリメントは「続けやすさ」も大切なため、ご自身の生活スタイルに合ったものを選ぶと良いでしょう。

 

オメガ3を摂って、健康的な毎日を手に入れよう

オメガ3脂肪酸は、私たちの健康を支える大切な栄養素で、血管や脳の健康、さらには心のバランスを整える働きがあります。

青魚やナッツ、植物油などの食品から摂取するのが理想ですが、忙しい現代人にとっては、サプリメントを活用することで効率よく補うことも可能です。

普段の食生活に無理なく取り入れ、オメガ3脂肪酸の力で健康的な毎日を目指してみてはいかがでしょうか。

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参考文献

References

https://www.health-college.com/article/omega3-effect