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不飽和脂肪酸を多く含む食品ランキング【種類別に解説】
                                栄養編集チーム 管理栄養士
公開日
2024.12.16
最終更新日
2025.08.28
「健康にいい油」と言われる不飽和脂肪酸は、体内で様々な役割を担っている栄養素の1つです。 中には積極的な摂取が推奨されている「必須脂肪酸」もあり、健康な生活を送る上では不飽和脂肪酸の摂取は欠かせません。
不飽和脂肪酸とは? 飽和脂肪酸との違いは?

不飽和脂肪酸
不飽和脂肪酸は、脂質を構成する脂肪酸の1種です。
脂肪酸は炭化水素鎖の末端にカルボキシ基がついた構造をしており、炭素間に二重結合があるかどうかで飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分類されます。
二重結合が無い飽和脂肪酸は主にエネルギー源として使用され、摂りすぎると生活習慣病の原因になることがあります。多くの人が「脂質」と聞いて思い浮かべる特徴に近いのではないでしょうか。
飽和脂肪酸
飽和脂肪酸は、動物性の油や肉に多く含まれている脂肪酸です。
不飽和脂肪酸は二重結合の数によって一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分類されます。人体にとってより重要なのは多価不飽和脂肪酸です。
多価不飽和脂肪酸に分類されるオメガ3脂肪酸・オメガ6脂肪酸は必須脂肪酸とも呼ばれ、不足することで皮膚炎などを引き起こします。(1)健康な生活を送るためには欠かせない栄養素と言えるでしょう。
不飽和脂肪酸は植物性の油や魚介類に多く含まれています。
不飽和脂肪酸の種類
一価不飽和脂肪酸
一価不飽和脂肪酸とは、炭素間の二重結合が1個のみ存在する不飽和脂肪酸です。飽和脂肪酸と同じく、主にエネルギー源として使用されます。一価不飽和脂肪酸は体内で合成することができるため、必須脂肪酸ではありません。
不飽和脂肪酸の1種ではありますが、健康にいいかどうかは明らかになっていない栄養素です。(1)
一価不飽和脂肪酸は油脂類や肉類に多く含まれます。代表的なのはオリーブオイルに含まれているオレイン酸です。
多価不飽和脂肪酸
多価不飽和脂肪酸とは、炭素間の二重結合が2個以上存在する不飽和脂肪酸です。二重結合の位置によって更に細かく分類されており、有名なのが「オメガ3脂肪酸」と「オメガ6脂肪酸」です。
この2種類は体内で合成することができず、不足すると皮膚炎などの欠乏症を引き起こします。
そのため、必須脂肪酸として摂取が推奨されています。一般的に「健康にいい油」と言うとこの2つを指す場合が多いでしょう。
オメガ3脂肪酸としては、α-リノレン酸、EPA、DHAがよく知られています。
また、オメガ6脂肪酸としてはリノール酸、γ-リノレン酸、アラキドン酸が有名です。これらは主に植物性の油脂や魚介類に多く含まれています。
不飽和脂肪酸を摂るメリットは?
不飽和脂肪酸であるオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸を摂取することで、様々なメリットがあります。
メリットを知っていた方が不飽和脂肪酸の摂取を継続しやすいですから、ぜひ目を通してみてくださいね。
ここでは大きく分けて3つのメリットを解説していきます。
1.生活習慣病の予防に役立つ
不飽和脂肪酸(特にEPAとDHA)には、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)を低下させる働きがあります。(2)
LDLコレステロールは高血圧や脂質異常症といった生活習慣病の原因となるため、不飽和脂肪酸を摂取することで生活習慣病の発症・重症化予防になるのです。
健康診断で高血圧や脂質異常症を指摘された、という人はEPA・DHAを多く含む魚介類を積極的に食べるようにしましょう。
2.アレルギー症状を抑制
オメガ3脂肪酸には炎症反応を抑える効果があると考えられています。一方で、オメガ6脂肪酸には炎症反応を促進する効果があります。
そのため、アレルギー反応の抑制にはオメガ3脂肪酸を多く摂取することが有効だと考えられているのです。(3)
国民健康・栄養調査によると、日本人はオメガ3脂肪酸に対してオメガ6脂肪酸を約5倍多く摂取している傾向にあります。(4)
アレルギーが気になるという方はオメガ3脂肪酸の摂取量を増やし、オメガ6脂肪酸の摂取量を減らすよう心がけましょう。
3.美肌効果
オメガ3脂肪酸は、細胞膜を形成する成分の1つです。そのため、オメガ3脂肪酸が不足することで皮膚の炎症やドライスキンを引き起こします。
反対に、十分な量のオメガ3脂肪酸を摂取することで潤いのある肌を保つことができると考えられています。(5)
肌の乾燥が気になるという方は、オメガ3脂肪酸を多く含む魚介類や植物性食品を積極的に取り入れましょう。
不飽和脂肪酸はどのくらい摂ればいいの?

一価不飽和脂肪酸の摂取目安量
一価不飽和脂肪酸は健康への影響が明らかになっていないことから、上限・下限ともに目標量は策定されていません。
とはいえ、一価不飽和脂肪酸もエネルギー源となる栄養素です。飽和脂肪酸と同じく過剰摂取にならないよう注意してください。
オメガ3脂肪酸の摂取目安量
表1.オメガ3脂肪酸の摂取目安量(g / 日)
| 
			 年齢  | 
			
			 男性  | 
			
			 女性  | 
		
| 
			 0~5ヶ月  | 
			
			 0.9  | 
			
			 0.9  | 
		
| 
			 6~11月  | 
			
			 0.8  | 
			
			 0.8  | 
		
| 
			 1~2歳  | 
			
			 0.7  | 
			
			 0.7  | 
		
| 
			 3~5歳  | 
			
			 1.2  | 
			
			 1.0  | 
		
| 
			 6~7歳  | 
			
			 1.4  | 
			
			 1.2  | 
		
| 
			 8~9歳  | 
			
			 1.5  | 
			
			 1.4  | 
		
| 
			 10~11歳  | 
			
			 1.7  | 
			
			 1.7  | 
		
| 
			 12~14歳  | 
			
			 2.2  | 
			
			 1.7  | 
		
| 
			 15~17歳  | 
			
			 2.2  | 
			
			 1.7  | 
		
| 
			 18~29歳  | 
			
			 2.2  | 
			
			 1.7  | 
		
| 
			 30~49歳  | 
			
			 2.2  | 
			
			 1.7  | 
		
| 
			 50~64歳  | 
			
			 2.3  | 
			
			 1.9  | 
		
| 
			 65~74歳  | 
			
			 2.3  | 
			
			 2.0  | 
		
| 
			 75歳以上  | 
			
			 2.3  | 
			
			 2.0  | 
		
オメガ3脂肪酸は、厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2025年版)」で摂取目安量が策定されています。成人男性は2.2~2.3g / 日、成人女性は1.7~2.0g / 日を目標にしましょう。(1)
オメガ6脂肪酸の摂取目安量
表2.オメガ6脂肪酸の摂取目安量(g / 日)
| 
			 年齢  | 
			
			 男性  | 
			
			 女性  | 
		
| 
			 0~5ヶ月  | 
			
			 4  | 
			
			 4  | 
		
| 
			 6~11月  | 
			
			 4  | 
			
			 4  | 
		
| 
			 1~2歳  | 
			
			 4  | 
			
			 4  | 
		
| 
			 3~5歳  | 
			
			 6  | 
			
			 6  | 
		
| 
			 6~7歳  | 
			
			 8  | 
			
			 7  | 
		
| 
			 8~9歳  | 
			
			 8  | 
			
			 8  | 
		
| 
			 10~11歳  | 
			
			 9  | 
			
			 9  | 
		
| 
			 12~14歳  | 
			
			 11  | 
			
			 11  | 
		
| 
			 15~17歳  | 
			
			 13  | 
			
			 11  | 
		
| 
			 18~29歳  | 
			
			 12  | 
			
			 9  | 
		
| 
			 30~49歳  | 
			
			 11  | 
			
			 9  | 
		
| 
			 50~64歳  | 
			
			 11  | 
			
			 9  | 
		
| 
			 65~74歳  | 
			
			 10  | 
			
			 9  | 
		
| 
			 75歳以上  | 
			
			 9  | 
			
			 8  | 
		
オメガ6脂肪酸は、厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2025年版)」で摂取目安量が策定されています。成人男性は9~12g / 日、成人女性は8~9g / 日を目標にしましょう。(1)
不飽和脂肪酸を多く含む食品ランキング
一価不飽和脂肪酸を多く含む食品Top10
表3.一価不飽和脂肪酸を多く含む食品ランキング(6)
| 
			 順位  | 
			
			 食品名  | 
			
			 一価不飽和脂肪酸量(g / 可食部100g)  | 
		
| 
			 1  | 
			
			 ひまわり油 ハイオレイック  | 
			
			 79.90  | 
		
| 
			 2  | 
			
			 オリーブ油  | 
			
			 74.04  | 
		
| 
			 3  | 
			
			 サフラワー油 ハイオレイック  | 
			
			 73.24  | 
		
| 
			 4  | 
			
			 なたね油  | 
			
			 60.09  | 
		
| 
			 5  | 
			
			 マカダミアナッツ いり 味付け  | 
			
			 59.23  | 
		
| 
			 6  | 
			
			 ひまわり油 ミッドオレイック  | 
			
			 57.22  | 
		
| 
			 7  | 
			
			 ヘーゼルナッツ フライ 味付け  | 
			
			 54.74  | 
		
| 
			 8  | 
			
			 牛脂  | 
			
			 45.01  | 
		
| 
			 9  | 
			
			 たらのあぶら  | 
			
			 44.90  | 
		
| 
			 10  | 
			
			 ラード  | 
			
			 43.56  | 
		
一価不飽和脂肪酸は、植物性・動物性に限らず幅広い食品に含まれています。そのため、一価不飽和脂肪酸の量だけで比較すると健康への影響は同程度に思えるかもしれません。
しかし、植物性食品と動物性食品では健康によくない油「飽和脂肪酸」が含まれる量が異なります。
植物性食品の方が飽和脂肪酸が少ないため、動物性食品(魚介類を除く)を多く食べているという方は植物性の油脂に置き換えることをおすすめします。
オメガ3脂肪酸を多く含む食品Top10

表4.オメガ3脂肪酸を多く含む食品ランキング(6)
| 
			 順位  | 
			
			 食品名  | 
			
			 オメガ3脂肪酸量(g / 可食部100g)  | 
		
| 
			 1  | 
			
			 えごま油  | 
			
			 58.31  | 
		
| 
			 2  | 
			
			 あまに油  | 
			
			 56.63  | 
		
| 
			 3  | 
			
			 えごま 乾  | 
			
			 23.70  | 
		
| 
			 4  | 
			
			 あまに いり  | 
			
			 23.50  | 
		
| 
			 5  | 
			
			 たらのあぶら  | 
			
			 22.64  | 
		
| 
			 6  | 
			
			 チアシード 乾  | 
			
			 19.43  | 
		
| 
			 7  | 
			
			 くじら 本皮 生  | 
			
			 11.20  | 
		
| 
			 8  | 
			
			 あんこう きも 生  | 
			
			 10.00  | 
		
| 
			 9  | 
			
			 くるみ いり  | 
			
			 8.96  | 
		
| 
			 10  | 
			
			 くろまぐろ 養殖 脂身 生  | 
			
			 8.14  | 
		
オメガ3脂肪酸を多く含む食品は、植物性の油脂やナッツ類、魚介類です。植物性食品にはα-リノレン酸が、魚介類にはEPA・DHAが含まれています。
健康のために、魚介類と植物性食品をバランスよく取り入れましょう。
オメガ6脂肪酸を多く含む食品Top10
表5.オメガ6脂肪酸を多く含む食品ランキング(6)
| 
			 順位  | 
			
			 食品名  | 
			
			 オメガ6脂肪酸量(g / 可食部100g)  | 
		
| 
			 1  | 
			
			 サフラワー油 ハイリノール  | 
			
			 69.97  | 
		
| 
			 2  | 
			
			 ぶどう油  | 
			
			 63.10  | 
		
| 
			 3  | 
			
			 ひまわり油 ハイリノール  | 
			
			 53.51  | 
		
| 
			 4  | 
			
			 綿実油  | 
			
			 53.51  | 
		
| 
			 5  | 
			
			 とうもろこし油  | 
			
			 50.82  | 
		
| 
			 6  | 
			
			 大豆油  | 
			
			 49.67  | 
		
| 
			 7  | 
			
			 ごま油  | 
			
			 40.88  | 
		
| 
			 8  | 
			
			 調合油  | 
			
			 34.11  | 
		
| 
			 9  | 
			
			 米ぬか油  | 
			
			 32.11  | 
		
| 
			 10  | 
			
			 落花生油  | 
			
			 28.80  | 
		
オメガ6脂肪酸は、植物性の油に多く含まれています。ランクインしている食品は油脂類ばかりですが、その原料となる食品にも豊富に含まれていますよ。
大豆製品やごま、落花生などは普段の食事に取り入れやすいでしょう。
今すぐできる!不飽和脂肪酸を摂るためのコツ3選

「栄養素には詳しくないし、不飽和脂肪酸を摂るのは難しそう」と思っていませんか?
ここでは不飽和脂肪酸を摂るためのコツを3つ紹介します。少し意識するだけで簡単に不飽和脂肪酸の摂取量を増やせるので、まずは自分に出来そうなことから始めてみてくださいね。
注意点として、不飽和脂肪酸は一度にたくさん摂取すればいいというものではありません。健康のためには不飽和脂肪酸の摂取を継続することが大切です。
1.肉を魚に変える

普段の食事で肉ばかり食べている、という人も多いのではないでしょうか。
思い当たる人は、ぜひ意識して魚を食べるようにしてみてください。まずは1週間で2~3回、肉を魚に変えるところから始めてみましょう。もっと変えても続けられそうだと感じたら、少しずつ魚を食べる頻度を増やしてくださいね。
魚は食べにくくて苦手だという方は、鮭やまぐろ、ぶりといった切り身で販売されている魚を試してみてください。
下処理が不要で簡単に調理できますし、骨が少ないので食べやすいですよ。
魚に含まれるオメガ3脂肪酸(EPA・DHA)は、不飽和脂肪酸の中でも特に健康にいい油として注目されている栄養素です。
とにかく健康にいい食事を心がけたい、という人におすすめの方法です。
2.間食にナッツを食べる

間食にナッツを食べることで、手軽に不飽和脂肪酸を補給できます。小腹を満たすこともできますから、ご飯の前にお腹が空いてしまうという人には特におすすめの方法です。
ナッツ類は不飽和脂肪酸だけでなく、ビタミン・ミネラルといった栄養素も多く含む食品です。アーモンドやくるみ、落花生、カシューナッツは入手しやすく栄養素も豊富に含んでいるのでおすすめですよ。
塩分が過剰にならないよう、ナッツは無塩のものを選びましょう。
食べすぎないよう、1日に150kcal(くるみサイズで5粒、アーモンドサイズで20粒程度)を目安にしてください。
3.植物油をちょい足し

不飽和脂肪酸を多く含む植物油には、ごま油、オリーブオイル、えごま油、あまに油などがあげられます。
サラダや味噌汁、ジュースなどいつも食べている料理や飲み物にかけて食べることで、手軽に不飽和脂肪酸が摂取できますよ。
ただし、健康にいい油といっても過剰摂取は厳禁です。料理にも油は使用されていますから、ちょい足しは1日につき小さじ1杯を目安にしましょう。
植物油は幅広い食品と合わせられるので、飽きずに続けやすい方法です。
手軽に不飽和脂肪酸を摂取したい、という人はぜひ試してみてくださいね。
不飽和脂肪酸を含む食品を調理する時のポイント
不飽和脂肪酸は不安定であるため、加熱調理に向かないと言われています。一方で、一般的な加熱調理の範囲なら問題ないという研究結果もあります。(7)
効率よく不飽和脂肪酸を摂取したいという方は、魚類はお刺身などの生食、植物油はドレッシングなどにして火を通さずに食べましょう。生魚が苦手な方は、無理せず火を通して食べてくださいね。
保存方法にも注意が必要です。不飽和脂肪酸を多く含む油脂類には、酸化しやすいという特徴があるためです。
不飽和脂肪酸を含む食品は冷暗所で保存し、開封したらできるだけ早く食べきるようにしましょう。1ヶ月から2ヶ月ほどで酸化してしまうので、短期間で食べきれるサイズのものを購入してくださいね。
まとめ
不飽和脂肪酸は、摂取することで様々なメリットがある栄養素です。特にオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸は健康に暮らす上で欠かせない必須脂肪酸ですから、積極的に摂るようにしましょう。
不飽和脂肪酸は植物性の油類やナッツ類、青魚に多く含まれています。普段の食事であまり食べていないという方は、ぜひ意識して食品を選んでみてください。
「肉を魚に変える」「間食をお菓子からナッツに変えてみる」「サラダやスープに植物油をかけてみる」といった一工夫で、簡単に不飽和脂肪酸の摂取量を増やすことができますよ。
健康な生活には、不飽和脂肪酸を継続して摂取することが大切です。この記事を参考に、無理なく出来そうなことから始めてみてください。
ヘルスカレッジ栄養編集チームは、管理栄養士や食の専門家が集まり、最新の栄養情報をわかりやすく、毎日の生活に役立つ形でお届けしています。
私たちの目標は、栄養に関する知識をシンプルに説明し、皆さんが健康的な食生活を楽しみながら実践できるようサポートすることです。
参考文献
References
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